日記

  僕が生まれ育った街は、かつて炭鉱で栄えた街だった。
   割と大きな港があり、その周りの工場群はぎらぎらと銀色に光って、
  そこから吐き出される黒煙は風にゆられながら高く昇って
  青空に溶けていった。
  僕達が幼かった頃から、炭鉱産業は衰退の一途をたどっていた。
  それでも当時はまだ炭鉱関係者が多く、その人たちが住む社宅は、
  僕の街の風景の大部分を彩っていた。
  大人たちが口にする“斜陽の街”という言葉は、
  木造の社宅たちが夕日で紅く暮れなずんでいく情景を詠った詩のようで、
  子供の僕に心地良かった。

森川氏著『はっしゃん外伝』より抜粋



〜はっしゃん〜


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