紹介記事



記事全文




【注意:この記事は『朝日新聞社』の承諾のもとに掲載しています。複製、転載は出来ません。】


 大牟田市出身の中林朗夫さん(31)=東京都調布市在住=が2年半をかけ、徒歩で日本一周を達成した。全行程は9024キロ。人々との出会い、別れ、感動、絶望……。旅の間、様々な思いを書き続けたホームページ(HP)へのアクセスは延べ約20万件に上った。旅日記「泣き虫男、歩いて日本一周してきます」(エイ出版社)も出版された。
 大牟田市内の高校を卒業後に上京。10年後、アルバイトで携帯電話を売っていた。毎日同じことの繰り返し。「おれ、何やってんだろう」。夢も目標もない生活。このままじゃだめになる。「そうだ、歩いて日本一周しよう」。03年3月14日、東京駅をスタートした。
 太平洋沿いを北上し、6月20日に最北端の北海道・宗谷岬にたどり着いた。旅は順調だったわけではない。出発して4日目、千葉県君津市の山道で夜になった。ポツリと明かりのついた農家を見つけた。「敷地内にテントを張らせてください」と頼んだが、断られた。暗い道をとぼとぼ歩きながら、「ああ、もうこんな旅やめたい」と思った。
 すると、さっきの農家のおばあさんが追いかけてきて、「戻っておいで」。夕食を振る舞ってくれた。焼き餅3個、ネギとトロロのみそ汁、フキノトウのあえ物、たくあん。「温かさが冷え切った心を溶かした。食べながら泣き通しだった」
 北海道から今度は日本海側を南下。9月に古里大牟田へ。両親の元で羽を休め、アルバイトで旅の資金稼ぎをした。半年後の04年3月、沖縄を目指して再出発。沖縄本島を一周し、鹿児島、宮崎、大分を経て四国、中国、近畿と、瀬戸内沿いに東京へ。10月31日に旅は終わった。
 実際に歩いたのは416日。距離が出る歩数計で毎日の歩行距離を記録した。
 いま、達成感は特にない。「自分が頭でっかちだったことが体で分かったことが収穫かな。考えるだけでなく、一歩足を踏み出すことの大切さを知りました」。また元のアルバイトに戻ったが、「心は晴れやかです」。
 今回の本では旅の前半を紹介した。文庫サイズ、288ページ、定価777円。後半も出版予定という。



【注意:この記事は『朝日新聞社』の承諾のもとに掲載しています。複製、転載は出来ません。】



住所不定無職 TOPへ戻る